ねいろと、部屋の隅っこ
連載 「ねいろがうちに来るまで」 第4回(全8回)
ねいろを預かって、2週間が経ちました。
知らないおうちに来たばかりのねいろ。彼女の定位置は、部屋のいちばん隅っこです。壁に背中をつけて、部屋全体が見渡せる場所。ごはんを食べるときは、一口ごとにこちらを振り返ります。「食べていいんだよ」と声をかけると、また一口。その繰り返し。
焦らない、焦らない。信頼は10センチずつ。シェルターで覚えた呪文を、毎日唱えています。
で、今日の小さな事件です。夜、私がソファで本を読んでいたら、視界の端で何かが動きました。ねいろが、隅っこから、そうっとこちらに歩いてきて——ソファから1メートルの床に、ぽすん、と伏せたんです。
動かない私。読めていない本。ばくばくの心臓。ねいろはそのまま、小さくため息をついて、目を閉じました。
1メートル。たった1メートル。でもこの1メートルは、この子が自分の意思で縮めてくれた、はじめての距離です。
本の内容はまったく頭に入りませんでしたが、今日は人生でいちばんいい読書の夜でした。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます🐾
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